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Oct 06, 2006

イグ・ノーベル賞2006

ノーベル賞が出揃いましたね。イグ・ノーベル賞も。

ひとつ気になったのがフランス人に与えられたイグ・ノーベル物理学賞の「乾燥したスパゲティを曲げると、二つに割れずそれ以上の数の破片になってしまうのは何故か、についての洞察に対して」。しかしなんと同じ研究を20年前に高校生がすでに報告しております。当時私は小学生でしたが,この発表は大阪府学生科学賞でたしか入賞していたのでよく覚えてました。

イグ・ノーベル委員会,というかマーク・エイブラハムズ,調査が足らんぞ(笑)。

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Oct 02, 2006

2006年ノーベル賞

今年のノーベル医学生理学賞は,RNAiの発見で,FireとMelloに与えられたそうです。RNAiとは,短いRNA断片が,遺伝子発現を抑制するという現象です。この2名を筆頭とラストオーサーとする論文が1998年の2月に発表されてから,まだ8年と少し。恐るべきスピード受賞です。

当初はC.elegansという全身の細胞数が1000個ほどの小さな生物に見出された現象で,哺乳類ではおこらないと言われておりました。再現性がなかなかとれなかった現象で,発見当初はかなり懐疑的な見方をされていたのですが,この数年で,その応用が爆発的に延びています。

この現象,現象としてはかなりよく理解されており,医薬品への応用もかなり研究されています。が,そのメカニズムは,というと未だ霧の中という状況ではないでしょうか。一昨年のノーベル賞は比較的基礎的な分野に授与されておりましたが,去年のピロリ菌や,その前のまえのMRIなど,ここ最近の流れとしては,技術的な応用に近いもの,という感じをうけています。RNAiはまさに技術そのものずばりです。

応用とは言いましたが,何に使うのか,お昼の話題に事欠かない程度にごく簡単に説明しましょう。

ゲノム解析が済んだ現在では,各ゲノムの機能解析が最重要課題です。遺伝子機能の解析方法は大きくわけて,遺伝子導入と遺伝子ノックダウンの2種類あります。どちらもマウスなど実験動物の遺伝子に,新たな遺伝情報を書き加えるか,削除するかして,表現型の変化を観察し,機能を推定するわけです。ところが,実験動物を使うのは,煩雑で時間がかかるし,結果にばらつきがでるし,とにかく面倒なわけです。なので,同様の実験を,動物実験ではなく,実験台上で培養細胞を使ってやりたいとみんな思っていたのです。ところが,培養細胞への遺伝子導入(書き加えるほう)は,種々のベクターをつかえば比較的簡単に実現できるのですが,ノックダウン(削除するほう)は難しかったという経緯がありました。

今回の2名が発見したのは,ぱらぱらとその遺伝子の短い断片を振り掛けると,なぜだかその遺伝子の発現がストップする,という摩訶不思議な現象でした。この発見後,多くの研究者の検証を重ね,培養細胞の特定の遺伝子をノックダウンするというのは,簡単にできるようになったのです。

そういう時代のニーズにもがっちりはまったというのも幸運なところですし,はじめから哺乳類でやっていたえわけではなかったのも,発見する上で幸運でした。が,なにより一番幸運だと私が思うのは,彼らがまだ若いということでしょう(まだ二人とも50歳になっていません)。

ところで余談ですが(いや最初から余談か。),日本のRNAiの研究はというと,少し前までトップ独走中だった東大の多比良研の仕事が,実は論文捏造だったという最低最悪の仕事ぶりが発覚したばかりで,出遅れています。まじめにやっている日本の研究グループにとっては非常に残念なことです。

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