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Jul 08, 2007

クマゼミ初鳴日

毎年のことですが例によって備忘録。

今年のクマゼミの初鳴日@京都は7月6日でした。抜け殻はその前日にはじめて目にとまりました。ニイニイゼミもその日には鳴いているのに気づきましたが,初鳴日は不明。今年は遅めの印象です。

で,いくつかウェブサイトみてるとなかなか面白いページ発見。「クマゼミの発生(予測と実況)」。私の心の故郷長居公園でクマゼミの観測をしておられる大阪自然史博物館の学芸員のかたによる報告です。

このレポートで秀逸で独創的なのは,セミの発生レベルを騒音量(デシベル)で表現したという点。いやはやおみごと。過去に私は,セミの数を音量という値で数値化した例をほかに知りません。しかし,考えればどんな数値よりも大域的にセミの数を客観的に表現していると思います。

これは,朝6時過ぎから始まり10時ごろに最高潮を迎える,長居公園のクマゼミの大合唱を聞いたことがなければ想像しにくいかもしれません。個別のセミを聞き分けるというレベルではなくて,360度,四方八方からわんわんと響くエコーの中に埋まってしまうという感じ,下で普通の声で会話にならないといえば伝わるでしょうか。

このレポート,読めば読むほど興味深い記述があります。特に次の記述。

「なお、クマゼミの発生周期については、生育年数が8年のものが最も多くなった飼育実験結果(特別展にて紹介予定)とも深く関連していると考えられる」

私の知る限り,クマゼミの幼虫年齢をずばり書いていたものを見たことはありません。大昔に読んだ図鑑では,ニイニイ4年,アブラゼミ6年,クマゼミ5~6年とあったと思います。(アブラゼミはその後7年と結論づけられたようでです)。ってか,クマゼミ飼育実験では8年というデータを得たようですが,8年以外のものもいたというような書き方です。温度や,えさとなる樹木の栄養などの環境にもよるのでしょうか。飼育実験によって確かめたというのはすごい仕事ですよ。

というのもセミの飼育は非常に難しくて,何しろ卵を孵すのからむずかしい。あまり知られていませんが,セミは木に産卵するので,その卵をとってくるのが困難まずひとつ。あまりに難しいから,カゴのなかで自分で植えた木に産卵させようとしても,カゴの中で産卵するまで飼いつづけるのが困難ひとつ。卵は産卵した翌年の梅雨時に孵化するといわれています。気候も重要なようです。孵化した幼虫は地面の中から逃げないようにしないといけません。ところがコンクリートで固めるわけにはいかない,というのもえさは生きた木ですから。水がたまらない工夫がいります。さらにそこから何年間,一見ただの木を植えているだけの空間を,新たにセミが入ってこないようしっかりキープしないといけません。この気の遠くなる根気強い実験をやり遂げたわけですよ。まさにグッジョブ!!ブラボー!!!

貝とか魚ですと,定期的にサイズなどを観測して全個体における年齢構成(コホート)を調べるのが常套手段ですが,セミの幼虫は地中深くにいますので,こういう調査がしにくくて,生態学的な解析がほとんどされていなかったわけです。で,成虫数の年周期から推測する,という調査がやられているのですね。よく知られている例では,13年ゼミ,17年ゼミというわかりやすい発生周期のセミがいます。これは発生周期=幼虫年齢となりますが(幼虫年齢が26年や,34年あるいはそれ以上という可能性もありますが誰か否定はしているんでしょうか。。。ちなみにこれらのセミは同種で,幼虫年齢だけが違うらしいです。何が幼虫年齢を決定する要因なんでしょうね),他のセミでも似たようなパターンはないかと調査されています。で,振り出しに戻るわけですが,セミの個体数をなかなか定量的に表せなくて,この種の調査が難しかったわけです。

いやもう,大阪自然史博物館の「日本一のセミ展」に行くしかないですね,こんな実験結果が報告されているのだと。といいますかこの学芸員のかたと個人的にひざを交えて詳しく実験を聞きたいぐらいです。

備忘録だけのはずが,なぜかこんなに書き込んでしまった(笑)。。。。

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